香川の桜鯛「浜焼き」|3月22日(土)放送
香川県高松市を含む瀬戸内地方では、春になると「桜鯛の浜焼き」が楽しまれます。春の訪れとともに桜の花が咲き始める3月から5月、この時期の真鯛は産卵を控え、体がうっすらと桜色に染まることから「桜鯛」と呼ばれます。この時期の桜鯛は脂がのっていて、身が引き締まり、特に美味しいとされています。
桜鯛の浜焼きは、その名の通り桜鯛を丸ごと焼き上げる料理です。ただし、一般的な塩焼きとは違い、香ばしい稲藁の香りをまとわせながらじっくり蒸し焼きにするのが特徴です。鯛の旨味が凝縮され、ふっくらとした仕上がりになるため、特別な日のごちそうやお祝いの席でも楽しまれてきました。香川県の春を象徴する味として、地元では古くから愛されています。
桜鯛の浜焼きの作り方と特徴
浜焼きの魅力は、素材の良さを活かし、シンプルながらも手間をかけた伝統的な調理法にあります。新鮮な桜鯛を丸ごと使い、稲藁の香りをまとわせながらじっくりと蒸し焼きにすることで、余分な水分が抜け、鯛の旨味がより濃厚になります。さらに、鯛の腹に鶏卵を入れて一緒に焼くことで、ほんのりと鯛の風味が染み込んだ蒸し卵が出来上がります。この蒸し卵は、「子宝に恵まれる縁起物」としても親しまれています。
作り方は以下の通りです。
- 新鮮な桜鯛を丸ごと使用し、ウロコや内臓を丁寧に取り除く。
- 塩を軽くまぶし、腹に鶏卵を詰める。
- 稲藁で包み、じっくりと蒸し焼きにする。
- ほんのりと藁の香ばしさが移り、しっとりとした食感に仕上がる。
稲藁で蒸し焼きにする工程が、普通の塩焼きとは異なる大きな特徴です。直火で焼くのではなく、じんわりと熱を通すことで、身がパサつかず、しっとりとふっくら仕上がります。焼き上がった浜焼きは、香ばしい香りとともに桜鯛本来の旨味を存分に楽しめる一品になります。
地元ならではの食べ方
桜鯛の浜焼きは、そのまま食べるのはもちろんですが、香川県ならではの食べ方がいくつもあります。
-
鯛めし
ほぐした鯛の身をご飯に混ぜるだけで、鯛の旨味がしっかり染み込んだ絶品の鯛めしが完成します。少し醤油を垂らすとさらに風味が増し、おにぎりにしても美味しく食べられます。 -
鯛茶漬け
鯛の身をご飯にのせ、特製の出汁をかけていただくシンプルなお茶漬け。軽くワサビを添えると、鯛の甘みが引き立ちます。さっぱりと食べられるので、〆の一品としても人気があります。 -
鯛の皮せんべい
取り除いた皮をカリッと揚げると、香ばしいパリパリ食感の鯛せんべいになります。おつまみにもぴったりの一品です。 -
讃岐和え
ほぐした鯛の身を、はっさくや三つ葉、ミョウガと一緒に胡麻味噌酢で和えた爽やかな一品。さっぱりとした味わいが特徴で、お酒にもよく合います。
地元では、このように浜焼きを活かした料理が親しまれています。余った浜焼きをアレンジすることで、いろいろな楽しみ方ができるのも魅力のひとつです。
桜鯛の浜焼きを購入できる場所
香川県高松市では、老舗の魚市場や専門店で浜焼きを購入することができます。特に、「おさかな工房まるせん」では、厳選された新鮮な天然真鯛を使用し、昔ながらの製法で一つ一つ手作業で浜焼きを作っています。添加物や保存料を一切使用せず、鯛・藁・塩・玉子といった素材もすべて香川県産にこだわっているため、安心して食べることができます。
また、近年ではオンライン販売も行われており、全国どこからでも本場の桜鯛の浜焼きを取り寄せることが可能です。香川県に足を運べない方でも、自宅で簡単に本場の味を楽しめるのは嬉しいポイントです。
まとめ
香川県高松市の桜鯛の浜焼きは、春の訪れを告げる伝統的な郷土料理です。稲藁でじっくり蒸し焼きにすることで、桜鯛の旨味を最大限に引き出し、ふっくらとした食感に仕上がります。そのまま食べるのはもちろん、鯛めしや鯛茶漬け、讃岐和えなど、さまざまなアレンジで楽しめるのも魅力です。
香川県を訪れた際には、ぜひ地元の市場や専門店で本場の浜焼きを味わってみてください。また、オンラインショップでも購入できるので、自宅でも気軽に香川の春の味覚を楽しめます。桜鯛の浜焼きを味わいながら、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
コメント